広告表現と薬事法

 広告の3原則
 薬事法における広告とは、下記のいずれの要件も満たす場合をいう。
 1.顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昂進させる)意図が明確である。
 2.特定医薬品等の商品名が明らかにされていること。
 3.一般人が認知できる状態であること。

 広告と見なされるもの
 1.その物の容器、包装、添付文書等の表示物
 2.その物のチラシ、パンフレット等
 3.テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、インターネット等によるその物の広告
 4.その物と関連した小冊子や書籍等を一緒に取り扱う(同一売り場等)
 5.新聞,雑誌等の記事の切り抜き、書籍,学術論文等の抜粋
 6.代理店、販売店に教育用として配布される商品説明(関連)資料
 7.使用経験者の感謝文、体験談など
 8.店内及び車内等におけるつるし広告
 9.店頭、訪問先、説明会、相談会、キャッチセールス等においてスライド、
   ビデオ等又は口頭で行われる演術等

 行政指導について
  行政(所轄は本店所在地の都道府県庁)は製品に関して薬事法違反があった場合、
 製品の回収命令や回収示唆をすることができます。また、販促物に関しても停止命令や
 次回からの改善を促す事がありますが、販促物の表現違反でいきなり製品を回収したり
 することはありません。指導は違反の内容によって異なってくるようです。

 明らか食品
  野菜や果物、生鮮食品など、誰が見ても明らかな食品が「明らか食品」と呼ばれるもの
 です。例えばサプリメントは医薬品と誤解されるような売り方をすると違反となりますが、
 誰が見ても明らかな食品であればそれを医薬品と誤解する人はいません。「明らか食品」は
 薬事法の適用のないゾーンであり、効能を述べても違反とはなりません。

 特定保険用食品
  最近テレビのCMなどでよく見かけるようになった「特定保健用食品」は、医薬品のように
 効果効能を謳ったものではなく、あくまで「保健の用途」のために利用される食品です。その
 認可を受けるにはその食品の有効性、安全性、品質についての科学的根拠を示した上で、
 国の厳しい審査のもとに、厚生労働大臣の許可を受ける必要があります。

   ●東京都福祉保険局ホ−ムページ

     ◎薬事法(抜粋)

     ◎医薬品等適正広告基準

     ◎広告関係通知集について

 広末「浄化計画」変更 薬事法抵触? 日本コカ・コーラ
  2006年08月03日
   女優の広末涼子さんを起用して「広末涼子、浄化計画。」とのコピーを添えた
  日本コカ・コーラ(東京都渋谷区)のペットボトル飲料「からだ巡(めぐり)茶」の
  テレビCMが、薬事法に抵触する恐れがあると東京都に指摘され、同社は7月29日
  からの新CMでコピーを「気分浄々」に変更した。
  「浄化」など、老廃物除去をイメージしたCMの言葉遣いや演出が「医薬品としての
  効能があるように受け取られる恐れがある」と、都内に本社を置く企業に対して薬事法
  に関連する監督責任をもつ都が6月上旬に指摘した。
  「巡茶」は5月に発売。CMは、広末さんがヨガを習いながら巡茶を飲み、きれいになる
  というストーリーを「宣言編」「実行編」などで展開。CM総合研究所の6月の調査でも
  好感度上位にランクされた作品だ。
  日本コカは、ちょうどCMの切り替え時期にも重なっていたため、新CMで都の指導に従う
  形でコピーを変えた。同社は「CMのイメージを守るぎりぎりの選択」と説明しているが、
  都はコピーの中に「浄」の文字が残っていることから依然として問題視。同社に再指導して
  いるといい、CM騒動は尾を引きそうだ。
                                               asahi.comより

     ◎薬事法に抵触する健康食品の広告例



 承認前の医療機器 臨床研究使用可に…規制改革会議
   政府の規制改革会議は23日、薬事法で承認される前の段階で医療機器を臨床研究に使用する
  ことを認める「臨床研究用承認制度」を創設するよう、厚生労働省に求める方針を固めた。規制
  改革担当の甘利行政改革相が24日、同会議に調整開始を指示する。同会議は、年末にまとめる
  第3次答申に盛り込みたい考えだ。 同制度は、医療機器メーカーが承認を受け、開発段階に
  ある機器の有効性を臨床で確かめられるようにする内容だ。承認審査は、医薬品や医療機器の
  審査を担当する独立行政法人が行うことを想定している。国内の医療機器産業の機器開発を支援
  するのが狙いだ。
                                        (2008年10月24日 読売新聞)

 「免疫機能向上」と化粧品販売、薬事法違反容疑で書類送検
   NPO法人「日本リンパセラピスト協会」(千葉市若葉区)代表理事(57)が社長を務める化粧品
  製造販売「ヒューム」(同)が医薬品の効能をうたって化粧用クリームを販売したとして、千葉県警
  は20日、社長と同社を薬事法違反(医薬品の無許可販売)容疑で千葉地検に書類送検した。捜査
  関係者などによると、ヒュームは2007年4月〜今年7月、ほかの業者から仕入れた化粧用クリーム
  に鉱物の粉末を混ぜ、医薬品販売の許可を受けずに、「免疫機能が向上し、病気の予防になる」
  などと効能を宣伝し、東京都や千葉県などの40〜60歳代の男女5人に、計約280個を、
  約130万円で売った疑い。社長は07年2月、リンパの働きを良くすることで健康を保つとする
  「リンパセラピー」普及などを目的に協会を設立。会員は百数十人のマッサージ店の関係者らで、
  研修会や講習会を開催、クリームの効能を宣伝した。会員は、1個(200グラム入り)
  1万3200円のクリームを4620円の会員価格で購入し、客にも紹介していたとみられる。
  売り上げは少なくとも年に数千万円に上るとみられる。県警は、健康法でリンパ節が注目されて
  いることから、社長がNPOを使って売り上げを伸ばしていたとみて、NPO設立の経緯など
  裏付け捜査を進める。
                                        (2008年10月20日 読売新聞)

関連記事・情報

 薬事法違反容疑で「島忠」など捜索
   金属元素「バナジウム」を含んだ水を医薬品の認可を受けずに「糖尿病に効く」などとうたって
  販売したとして、神奈川県警生活経済課が、ホームセンター大手「島忠」(さいたま市西区)と
  製紙業「イデシギョー」(静岡県富士市)の本社を薬事法違反(無許可販売)の疑いで捜索して
  いたことがわかった。捜査関係者によると、島忠は5〜7月、イデシギョーの関連会社が製造した
  医薬品でない水を「血糖値が下がる」などとして販売した疑い。
                                        (2008年10月2日 読売新聞)

 大衆薬、競争激化へ
  ◎「登録販売者」スーパーもサービス強化
    これまで薬剤師のいるドラッグストアや薬局などでしか買えなかった大衆薬の多くが来年度
   からスーパーなどの量販店で買えるようになりそうだ。薬事法の改正で、副作用の危険性の低い
   大衆薬は、薬剤師だけでなく、新たな「登録販売者」の資格を持つ店員が販売できるようになる
   ためだ。スーパーだけでなく、家電量販店、コンビニなどでも販売できる店舗を増やす動きもある。
   競争激化で、消費者にとっては大衆薬の価格低下というメリットが期待できそうだ。(浜中昭彦)

  ◎大衆薬
    大衆薬の登録販売者は、改正薬事法で新設される販売資格だ。第1回の試験が8〜10月に
   かけて全都道府県で行われており、約6万人が受験するとみられ、実際の制度は09年6月まで
   にスタートする。薬事法で大衆薬は副作用を起こす危険性に応じて3段階に分類されている。
   スーパーなどは、特に安全上の問題がない消毒薬やコンタクトレンズ用薬など医薬部外品を店内で
   販売し、大衆薬を扱う場合は薬剤師を雇って薬売り場を作ったり、薬剤師のいるドラッグストアを
   併設して販売していた。今後は登録販売者の資格を持つ店員がいれば、第2分類の「バファリン」
   (ライオン)などの解熱鎮痛薬、第3分類の「ロート」(ロート製薬)などの洗眼薬を始め、多くの
   大衆薬を販売できるようになる。
    ただ、「ガスター10」(第一三共ヘルスケア)や「リアップ」(大正製薬)など第1分類の
   一部の胃腸薬や毛髪用薬などは薬剤師がいなければ販売できない。処方せんが必要な「医療用
   医薬品」も薬剤師がいる調剤薬局しか販売できない。

  ◎販売拡大
    登録販売者になるための受験資格を得るには、薬売り場の「1年以上の実務経験」などが必要
   だ。流通各社は大衆薬を扱えるかどうかが今後の集客と売り上げに影響しかねないため、多くの
   社員を受験させている。食品スーパー大手のマルエツは、登録販売者を増やして、大衆薬を販売
   する店舗を現在の49店舗から全240店舗に拡大。「今後は食品スーパーでも薬がないと、
   消費者に品ぞろえが不足していると思われる」(商品統括生活用品部)という。
    イオンは総合スーパーのジャスコや食品スーパーのマックスバリュなど、すでに全店舗の8割の
   310店で薬を販売し、このうち約130店は処方せんも扱える調剤薬局だ。薬事法改正後は、
   大衆薬の商品説明を登録販売者が行い、薬剤師は調剤に専念して、双方のサービスを強化する。
    また、家電量販最大手のヤマダ電機は7月から大衆薬を扱い始め、現在4店舗での販売は好調
   という。
    ホームセンター第2位のカインズは現在、全店舗の5割強の84店で大衆薬を販売しており、
   登録販売者を増やして、販売時間の延長や接客強化などのサービスを拡充する。
    消費者に恩恵 薬売り場が増えれば、大衆薬の品ぞろえが充実し、価格低下が進む可能性が
   高い。
    大和総研の津田和徳アナリストは、「大衆薬が普通に販売できるようになるため、価格競争が
   進む」と、消費者にとってもメリットが大きいと分析する。
    ドラッグストア最大手のマツモトキヨシは製薬会社と協力して割安な自主企画商品(プライベート
   ブランド=PB)の大衆薬を現在の300品目から、さらに増やすため、商品開発を進めている。
    一方、コンビニは、これまで薬売り場がなかったため、従業員に登録販売者の受験資格がない
   ケースがほとんどで、ハードルが高い。だが、ファミリーマートは9月に直営の都内2店舗で薬剤師
   を雇って大衆薬販売を始め、そこで1年以上勤務した社員に順次、登録販売者の資格を取ってもら
   い、直営店での大衆薬の取り扱い店舗を増やす方針だ。

  ◎経営統合協議へ
    ドラッグストアチェーン大手のキリン堂(本社・大阪市)とアライドハーツ・ホールディングス
   (本社・神戸市)は5日、経営統合に向けた協議を始めることで合意したと発表した。両社の連結
   売上高を合算すると2095億円で、業界7位の規模になる。キリン堂は「キリン堂」など三つの
   ドラッグストアを近畿を中心に、関東や中部などにも展開している。
    アライドハーツも「ライフォート」など四つのドラッグストアを近畿を中心に展開している。
                                            (2008年9月6日 読売新聞)

 未承認の中国製やせ薬保管、容疑の社長逮捕
  ◎心筋梗塞 副作用の恐れ
    心筋梗塞(こうそく)などの副作用を起こす危険がある医薬品成分「シブトラミン」を含む未承認の
   中国製やせ薬を無許可で保管していたとして、警視庁が、中国人の出版社社長許鶴鳴容疑者(58)
   (東京都杉並区)を薬事法違反(医薬品の販売目的貯蔵)の疑いで逮捕していたことがわかった。
   シブトラミンを巡っては2005年5月、この成分を含む中国製ダイエット食品を服用した都内の
   10歳代の女性が死亡したほか、下痢や腹痛を訴える健康被害が相次ぎ、厚生労働省は使用中止を
   呼びかけていた。同庁幹部によると、許容疑者は今年6月30日、医薬品販売業の許可を受けずに、
   販売目的で中国製やせ薬や経口避妊薬など計約1400錠を自宅に保管していた疑い。
                                             (2008年9月3日 読売新聞)

 岐阜県総合医療センター 卸売業者も処分
  ◎医薬品の違法販売 互助会長を厳重注意
    岐阜県総合医療センター(岐阜市)の職員互助会が1995年から12年間、医薬品を無許可で販売
   していた問題で、県は13日、薬事法違反(医薬品無許可販売など)で、互助会会長の渡辺佐知郎・
   同センター院長を厳重注意したほか、医薬品を卸したスズケン岐阜支店(岐阜市)を同日から5日間、
   業務停止処分にしたと発表した。県薬務水道課によると、互助会は95年7月〜07年11月の12年間、
   糖尿病患者が、血糖値を測るために使用する体外診断用医薬品「血糖値測定用チップ」を無許可で
   1017箱販売した。スズケン岐阜支店は、医薬品販売の許可を確認しないまま互助会に卸売りした。
    また、県は同日、化粧品メーカー「長良化学工業」(岐阜市)の3工場に対し、薬事法違反(化粧品
   無許可製造など)で同日から15日間、化粧品の製造停止処分にした。 県薬務水道課によると、同社
   本巣工場は昨年9月〜今年6月、無許可で化粧品のハンドソープ3万8520個を製造。同社
   真正工場は、化粧品製造で使用する調合機を移動させた際、変更届を提出しなかった。
    今年6月、同課に電子メールで情報が寄せられ、立ち入り調査した結果、違反がわかった。
                                             (2008年8月14日 読売新聞)

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